「ヒスか」 「遅くなりそうだ。 終わったら迎えに戻るから家に居てくれ」 「うん、わかった」 桜の花開く季節となると ふたり必ず共に夜の花びらを愛でる。 たとえ、約束したわけでなくとも・・・。 『ソヌの物語』です。 ソヌとヒスのふたりを描くのは、これで5度目・・・かな。 去年は描くことが出来ませんでした。 ソヌの物語を最後に描いたのは 一昨年の冬、クリスマスのストーリーでした。 以前からそうでしたが、今のように 開店休業となっていても、それでも 「桜が咲いたね・・・ソヌとヒスはどうしてるのかな」 なんて声を頂いて、切なさを覚えていたところに ふと、彼らのストーリーが浮かんできました。 ちなみに、この、あたしの描くソヌの物語は 全部初めに書いたものから 順に繋がっているものです・・・。 ブログを引越す前からずっと綴っていますが 旧宅ある、それぞれの 「ソヌの物語」 にも ここから行ける様にリンクページを作ってあります。 右のカテゴリからも飛べますが 出来れば辿って 古い順に読んでいただけると嬉しいです(* v v)。 旧宅の 「ソヌの物語」 へのリンク記事は 画像をポチっと♡ ちなみに、一昨年の桜のstoryは 『Petal』 です・・・。 ↑ (文字上ポチっとすると飛べます) 春の陽気に誘われるように 桜の蕾の膨らみと共に ソヌの仕事は激務化する。 絶好の観光名所に この機会、各ホテルはいつも満室 まして、ホテルのマネージャーともなれば シフトなどあってないようなものとなる。 いつ終わるか知れなくても ヒスは数年 彼を迎えついでにホテルに顔を出し 終わるまでロビーで座っていたりもしていたか。 無論、今年も そうするつもりで居たヒスだったが 想像以上に立込んでいるのか ソヌからの電話を受け 部屋で彼の帰りを待つこととなった。 何を着ていこう・・・ 等と迷った年もあったが もう、迷うヒスでもない。 いつだったか 年明けのまだ雪の降る頃 春物を着せられた マネキンの立つウインドウに 足を止めたことがあったのだが そのときのマネキンが着ていた スプリングコートは 玄関口のハンガーにかけてある。 少し前に ソヌがヒスにプレゼントしたのだ。 ソファに腰掛けて時計に目をやる。 19時過ぎ・・・ まだまだだ。 「ふぅ・・・」 溜息と共に、深く其処に掛けなおす。 テレビを付けて見るも 目星い番組もしておらず 少し肌寒く感じて 足元にあったブランケットをかけると いつの間にか眠りに落ちてしまっていた。 どれくらい経っただろうか・・・ 慌てて帰ってきたソヌが 鍵を開け、靴を脱ぎ捨て リビングに入ってくる。 「ヒス・・・」 目を閉じたままの彼女が 深い眠りについてしまっていることを知り 起こすことが憚られる。 しかし、時間が無い・・・ 「ヒス・・・」 髪から肩へと腕を滑らせ 身体を起こしかかったとき 不意に彼女が抱きついてきた。 「ヒス・・・?」 寝ぼけているのだろうか・・・? 普段このようなことはまずない。 どうしたのかと 様々な憶測が駆け巡り 暫し動けずにいると 彼女はソヌに顔を近づけ じっと目を見たと思うと 突然口づけてきた。 「・・・っ・・・」 驚くソヌだが そうなってしまえば 彼とて欲望の炎が灯らぬ筈もない。 彼女がするより 強く唇を吸い 深く舌を差し入れ貪りながら その胸を弄り 着衣を上へとたくし上げた。 「・・・ぁっ・・・おじさ・・・」 結局、性急にソファでことを終えてしまい ふと我に返る。 「そうだ、ヒス・・・桜・・・」 「あ・・・そうだったね。見にいこ」 そう言って、ニッコリと笑ったヒスに 思わず彼もつられて微笑む。 確かに夜は更けてしまったが どの道、いつも ふたり桜を楽しむのは 夜桜用の提灯の灯りが消えてからだ。 それも ホテルの従業員のみが歩く 裏の小さな桜並木の。 マネージャーである彼が入れぬ筈もなければ たとえ誰かに見られたところで ふたりの関係は暗黙の了解となっている今 考えてみれば 別にどうということはない。 「流石に冷えるな・・・」 いつもよりも寒い年な上に いつもよりも遅い、この時間。 ヒスの淡くモダンな スプリングコートが 風に翻ると 心なしか寒さで 彼女の眉間に皺が寄るのがわかる。 ソヌは黙って上着を脱ぎ そのコートの上から掛けてやる。 「ありがと・・・でもやっぱ、来てよかった」 「ん・・・そうか?」 「だって綺麗じゃん」 そう言ってヒスは ソヌのほうを向き直り、突然真面目な顔をする。 「おじさん・・・おじさんも寒いでしょ」 言うなり抱きついたかと思うと 何を思ったのか 段々にその身を下げて しゃがみこんで行く。 ・・・な・・・? すると、無造作に彼女は 彼のズボンのボタンを外し ファスナーを下ろしはじめた。 「ヒっ・・・ヒス・・・ちょ・・っ・・」 誰も居ないとはいえ ホテルの裏口から 誰か出てこないとは言い切れない。 流石にそれは・・・ 「だって、誰もいないんだしいいでしょ? あったかくなるかもしれないじゃない」 ・・・ほ・・・本気なのか・・・!? 上を見上げた彼女と目が合った。 すると彼女は 彼の其処に一瞬口付け そのままファスナーを上げた。 「冗談に決まってるでしょ」 「それとも本気にしたの?」 ・・・こっ・・・こいつ・・・ 顔が僅かに赤らんでしまうのが 自分でも分かる。 「おじさんってば、さっきしてきたばっかじゃん」 耳元でそう囁かれ 思わず彼女の髪を掴んで 乱暴に抱き寄せた。 「あまり大人をからかうと痛い目に逢うぞ」 「痛い目・・・?」 一瞬怯んだような表情を見せた彼女だが すぐに頬を綻ばせ 「痛い目って、どんな目?」 などと、煽ってくる始末。 その悪戯気な瞳は 何ともいえず・・・ 「ふっ・・・」 かなわんな・・・ そんなソヌの苦笑いを後に ふたりは並木道を 帰路へと向かった。 曲は倉本裕貴さんの『グリーンヒルズ』です。 ☆.。.:* REVIEW *:.。.☆ 本当に久しぶりのソヌとヒスでしたが 如何だったでしょうか? 描いといて自分で言うのもナンなんだけど・・・ ソヌもヒスも、かわいくない?(* ̄∇ ̄*)(笑) ずっと言ってきたことですが ソヌは本編では、裏社会に生きるダークで その世界しか知らずに死んでいった男。 そんな彼が、死なずに生きていたとして また、彼が最初で最後に愛した ヒスに想いが通じ、思い想われ 共に歩むことが出来たなら その先には、どんな人生が開けただろう あたし自身が愛してやまぬソヌに そんな人生を歩んでみて欲しくて、描いてきたもの。 本編を見てから いきなりこのストーリーでも読もうものなら 「は?なんやこれ?アホじゃないの?」 とでも思われそうな(笑) 裏社会とは程遠い なんでもない日常と、彼らのラブラブぶりですが それをそう感じず、むしろ当たり前のように感じて 読んでもらえるということは ここを読んでくださってきた方々に 描いてきた真意や想いが通じたものだと 共感してもらえたのだと 初めはありえないほど、下手くそな創作だったのに 諦めず、頑張って積み上げてきた日々が 本当に報われているのだと、嬉しく思うことであります。 次には、いつ描くことができるか これも、約束はできないけれど ソヌは裏社会を引きずりながらの人生でもあるので いつもいつも こう平和には暮らせず 色んな事件が起こることもあるやもしれませんが 彼らのことですから 共に手を取り合って、上手く乗り越えていけるだろうと そう信じています(笑) また、もし浮かんだ際、降りてきた際には 描くかも(かも、かよ)です(笑) 読んでくださった皆様、本当にどうもありがとうm(__)m
by fu-rinnosuika
| 2012-04-14 18:45
| 創作 ソヌの物語
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イ・ビョンホン 以前は 彼一筋に愛していた女の 今現在の日常ブログです。
by fu-rinnosuika
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