「ぁ・・・あぁ・・・っ」 灯(あかり)を落とし 枕もとの橙色の光だけが 灯(とも)る部屋。 ソヌに組み敷かれたヒスは 吐息交じりの声を漏らす。 初めてソヌが 彼女と桜を愛でてから 二年目の春が来た。 初めて彼が 桜の花を 美しいと思い眺めるのは 三度目の季節がやってきた。 『ソヌの物語』です。 桜のソヌ・・・ ソヌとヒスのふたりを描くのは これが3度目のstoryとなります。 ちなみに、この、あたしの描くソヌの物語は 全部初めに書いたものから 順に繋がっているものです・・・。 ブログを引越す前からずっと綴っていますが 旧宅ある、それぞれの 「ソヌの物語」 にも ここから行ける様にリンクページを作ってあります。 右のカテゴリからも飛べますが 出来れば辿って 古い順に読んでいただけると嬉しいです(* v v)。 旧宅の 「ソヌの物語」 へのリンク記事は 画像をポチっと♡ ちなみに、去年の桜のstoryは 『Cherry blossoms of the second times』 です・・・。 ↑ (文字上ポチっとすると飛べます) 先週のことだった。 ヒスはチェロの練習から戻り ソファで楽器を磨いていた。 ソヌはそんな彼女を横目に テーブルの前に座り 煙草を拭かしていた。 彼は言った。 「なぁ、ヒス・・・」 「ん・・・なぁに・・・?」 「来週・・・」 「桜でしょ?」 言いかけた彼の言葉を覆うように 彼女は顔を上げ 彼の目を見て笑った。 「ハハ・・・あ・・・あぁ・・・」 自然と彼の顔は緩み 笑みが零れる。 笑うことなど無かった彼だが 微笑む顔を見られることも ごくごく自然のことになっていた。 「日曜だが・・・」 「何時?」 「え?」 「何時に行けばいい?」 場所はいわずと知れた 彼の勤める観光ホテル。 そこの駐車場に続く桜並木の 奥の従業員専用駐車場から ホテルの裏口までが 彼らの花見場所なのだ。 「電気が消えるまでには終わらせる」 「わかった」 午後九時になると 観客用にと設置された 桜並木の燈篭の明かりが消える。 毎年それを眺めてきた。 ふたりきりで・・・ 雨が降っていた。 昼間休憩時に煙草を吹かしたときには そんな気配はなかったのに・・・ 夕方陽が落ちかけて ホテルに舞い込んでくる客達の スーツや洋服を濡らす雫に ソヌはチラリと外に目をやった。 ひとしきり チェックインの仕事を終えて ロビーに目をやり 見渡してみるが 彼女の姿はない。 去年彼女がそこに座り こちらをじっと伺っていたソファ。 そこには 彼女と変わらないくらいの年の 女が座っていた。 やがて 入り口から手を振りながら 駆け込んできた若い男に 嬉しそうに立ち上がって手を振りかえす。 若い恋人達だ。 8時45分を回り 彼はフロントの部下達に伝達を済ませると もう一度ロビーに目をやった。 ひともまばらな そのフロアに 彼女の姿はない。 彼はゆっくりとフロントを後にし 従業員用の出口に向かい 足を進ませた。 ポケットに手をやり 携帯を取り出す。 “ヒス” 通話ボタンを押そうとしたとき 目の前の出口のガラス扉の向こうに 彼女は立っていた。 慌てて携帯を仕舞い 外へ出る。 「ヒス・・・」 「おじさん」 「何故入ってこない・・・?」 「傘を忘れたの。 取ってきたわ・・・ホラ」 それは先日 彼女に買ってやったばかりの 少し大きめの 綺麗な薄紫色をした傘だった。 「行こう!」 「え・・・でも、雨が・・・」 「いいじゃない!」 彼女は傘を開くと ぐいっと彼の腕を掴んで中に入れ 力強く歩き出した。 ソヌは彼女の変わりに傘を持つと 今度は彼が 彼女の肩をグッと抱き寄せ 自らのほうへと引き寄せた。 足元の悪い雨の中 駐車場へと続く並木道を歩く ふたりの足音が ザッザッと響く。 「今何時?」 「え・・・?あぁ・・・58分だ・・・」 「大変!電気消えちゃうよ!」 彼女は彼の腕をすり抜けて 傘から飛び出し 一番大きく迫り出した 一本の桜の木の下に立って 上を見上げた。 雨の飛沫が 彼女の顔を濡らしていく。 雫の重みと 風の強さで 一枚、二枚と まだ咲いていたくて 必死にしがみつく花びらが 力尽きて舞い降りてくる。 「ヒス・・・」 「おじさん、早く!!」 彼はとっさに 手に持っていた傘を離し 両手を広げて雨を受けている彼女を 後ろから抱きしめた。 燈篭の明かりが消える。 薄闇の中 雨の音と風の音 そして 聞こえない筈の 桜の花びらの舞い散る音とが ふたりの耳に木霊した。 彼は右手で後ろから 抱きしめた彼女の左の頬に触れた。 しっとりと濡れたその肌は ひんやりと冷たかった。 強引にこちらを向かせ そのまま唇を奪った。 淡くて甘い キスの味がした。 「風邪引くぞ・・・」 車に彼女を乗せると同時に トランクから取り出したタオルを ヒスの頭に掛けた。 そのまま運転席に乗り込み 彼女の髪をクシャクシャッと拭き 足早にエンジンをかけて 部屋へと急ぐ。 玄関先で 靴を脱ぎ部屋に上がる彼女。 すぐ後ろから ついて上がるソヌ。 「ヒス・・・」 「ん?」 「すぐに着替えろ、風邪引くぞ」 「うん。おじさん・・・」 「ん?」 「おじさんもよ・・・」 びしょ濡れの髪から 雫を落としている彼を見て 彼女はフフフと笑い声を零す。 自らの肩にかけてあったタオルを 彼の頭に掛ける。 そして 彼の髪を拭こうと 手を伸ばしたとき 彼はその手首を掴んだ。 目が合うと同時に 彼は彼女に口付け 胸元の着衣に手を掛けた。 されるがままに その口づけを受け入れるヒス。 やがて彼女は 下着一枚となり 激しいキスを繰り返しながら 彼のスーツのジャケットを脱がし ネクタイを外しにかかった。 同じく下着姿になったソヌは 彼女を軽々と抱き上げ ベッドへと横たえた。 手を伸ばしてランプを灯し 組み敷いた彼女の 濡れた髪の生え際にそっと 唇を落とす。 「おじさん・・・ 今年も桜・・・綺麗だったね」 彼女は真っ直ぐ彼の瞳を見て微笑む。 「ああ・・・」 その瞳を見詰め返しながら ソヌも照れたように微笑んだ。 「・・・ぁっ・・・」 彼は彼女のブラの肩紐をずらし 膨らみを両手で揉み上げる。 目を閉じた彼女の 瞳に唇を落とし そっとブラジャーを外すと 細い裸体の 小さな膨らみの天辺でそそり立つ 小さな蕾に ペロリと舌を這わせた。 「んんっ・・・」 彼女が仰け反る。 すぐさま 空いた背中に手を差し入れて 小ぶりなヒップを覆う下着を取り去った。 やがて彼女の長い両の脚は開かれ 秘められたそこに 彼は顔を埋める。 「は・・・ああっ・・・」 この時彼女は 子供ではなく 妖艶でなんともいえぬ表情をする。 何度見ても その表情に身体に声に 溺れてしまいそうで 恐怖すら覚える瞬間。 そう・・・ 彼は彼女の虜。 踏み入れたら 二度と出られることのない 永久に囚われてしまうような深い 沼のような楽園。 そんな楽園に住む 少女のような顔をしたヒスは 彼にとって無二の宝物・・・ 最高の天使で 最愛の悪魔だろう。 強く突き上げると 壊れてしまいそうなほど 細く華奢な彼女の身体。 それでも 突き上げずにはいられない。 彼はそそり立つ情熱を 一滴残らず注ぐべく 渾身の力を込めて彼女を揺らす。 けれど どこまでも柔軟なその身体は どれだけ貫かれても その細腰を撓らせて 彼の全てを受け止める。 「ぁ・・・ああぁっ・・・!!」 何度目かの絶頂の後 彼の上で 大きく声を上げて反り返り 身を震わせた彼女は ぐったりとソヌの上に 身体を横たえた。 汗なのか雨なのか しっとりと濡れた彼女の髪を ゆっくりとソヌは 掌で撫でる。 「ヒス・・・風邪引く・・・」 「・・・よく言うよ・・・」 「ハハ・・・そうだな・・・ 風呂に入ろう」 ソヌは裸のまま 彼女をベッドから抱き上げると 共にバスルームへと向かった。 曲は倉本裕貴さんの『Romance』です。 ☆.。.:* REVIEW *:.。.☆ ソヌと桜。 一年目は 淡い桜の木の下での 彼らの可愛いエピソードを描いた。 その一年後の去年 やはり同じように その場所でふたりで桜を見る 彼らを描いた。 何故だろう・・・ 今年もやっぱり、彼らは浮かんだ。 描かずにはいられなかった。 毎回描いているよね。 ソヌとヒス 彼らは、あの春に劇場で『甘い人生』を観て それからずっと あたしの中では 自身と共に 時を過ごしている存在。 最近、描いてはいなかったけれど あたしの中で 彼らふたりのカップルは あたしたちと同じように 日々色んなこととぶつかりながら 生活をして生きているわけです。 この、大好きなソヌを Myさらんのスキンにしてから、一年経ちました。 もはや、彼の画像のないこの部屋で 彼を感じ、癒され、頑張れるのは このソヌが毎日ここに居てくれるおかげでもあり 書いてくれたヒコメさんには 毎日本当に感謝しております(* v v)。 このところ(って、当分書いてなかったが) 彼らの絡みのシーンは描かずにいましたね。 でも 確実に、彼らは互いを欲し 肌を重ねながら、愛を深めていると思う。 今年は、桜の終わりの頃に雨が降りましたね。 満開に近い時期に 花見を邪魔するかのように雨に降られることは ウリ地方では珍しくなかったのだけど(笑) 桜って、ほんとに咲き始めたら早くて 週末しかゆっくり花見が出来ないとしても 途中雨に降られて、散ってしまうということが 多々あるものだよね? 雨に濡れた桜もまた 風情があって美しいもの・・・ でも、花冷えの季節 雨に濡れると風邪を引いてしまう。 冷えたカラダを温めるべく 自然と愛しい相手を求め、抱き合う姿はどうだろう そう思い、浮かんだものを 形にしてみました。 久しぶりのソヌが みなさまの瞼にも、違和感無く浮かぶといいな。 読んでくださった皆様、本当にどうもありがとうm(__)m
by fu-rinnosuika
| 2009-04-17 23:58
| 創作 ソヌの物語
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イ・ビョンホン 以前は 彼一筋に愛していた女の 今現在の日常ブログです。
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