私は翌日 院長室へ出向いた。 辞表を提出するために。 院長は訳を聞いた。 直ぐには答えられなかった。 「君はクランケの受けがいい。 それに、ナースからもとても慕われていて 他の先輩ドクターからも評価が高い。 私として手放すわけにいかないんだが・・・」 院長はそう言ってくれたけれど 毎日忙しいこの病院では それでなくとも医師の人数が足りず ギリギリで回していっているのが現状だ。 外来においては特に すぐさまシフトに支障が出てしまう。 だからこうして咎めているのだろうと思った。 そして そこで思いがけず ホジュンが父の病院に入るために退くことを聞いた。 一度に二人の医師を失うことは避けたいと。 「このところ体調が優れないのに無理をしてくれていたから・・・ 辞表は保留にしておくから、休みが欲しければ取ればいい」 そう諭されて話は終わってしまった。 院長室を出るとホジュンが立っていた。 「辞めるつもりだろ・・・?」 「え・・・」 「こうすると思ってた」 「・・・・・・」 「聞いたろ?僕はここを辞めるんだ」 「ええ・・・おめでとう」 「だから君は辞めるんじゃない」 正直 頭に血が上って罵倒されたり 殴られたとしても不思議でないと思った。 それなのに この期に及んでも冷静で優しいホジュン。 私は彼の瞳を見ることができなかった。 彼に促されて 仕事が終わって茶店で会った。 俯いたままの私にホジュンは言った。 「ずっと・・・不安だったんだ。」 「・・・・・・」 「君が僕を愛してくれているのかどうか・・・ただの情じゃないかってね」 「でもそれは、彼のことがあるずっと前からのことだよ・・・」 「遅かれ早かれ、こういうときが来たのかもしれない。 僕では君を幸せにはできないということかな」 ホジュンは悲しげに笑った。 何も言葉を返せなかった。何も・・・。 「正直僕も苦しんだ。君を恨みもしたよ・・・」 「けど、やっぱり君が好きだから。 君には幸せになって欲しいと思っているよ。 それから・・・病院は辞めないで。 僕からの最後のお願いだ。 それくらい・・・聞いてくれるだろ?」 そういい残して彼は席を立った。 そして私に背を向けて出て行った。 何度も言おうと思った。 『ありがとう』 『ごめんなさい』 でも それを言うのは ここへ来て彼をもっと傷つける気がして言えなかった。 どうしても・・・どうしても言えなかった・・・。 溢れそうになる涙と共に その言葉を奥歯を噛んで飲み込んだ。 ホジュン・・・ごめんなさい そして ありがとう・・・ ------------------ To be continued... -----------------
by fu-rinnosuika
| 2007-06-21 00:42
| 創作 女医とガテン男
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